寝付けない夜に #2 「本のはなし」
- SS from monogrande
- 2018年8月17日
- 読了時間: 3分
寝付けない夜に #2 「本のはなし」
Written by Marina (@mrnp913)

本というものはつくづく不思議なもので
読んだ時の年齢や
自分がおかれている環境
タイミングなどによって
同じ作品であっても
感じ方や作品に対する印象が
大きく変わることが多々あると思う。
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江國香織「ホリー・ガーデン」
私がこの本を初めて読んだのは確か4年前の
大学生になりたての頃だったかな。
ピンクとオレンジがまざったような色の表紙
よく意味のわからない題名。
何故か私はこの本に惹きつけられて
気づいたら購入していた。
江國香織さんの本は読んだことがなかった。
高校生の頃から気づいたらいつも一緒にいた果歩と静江。
30歳目前になっても変わらない友情を描いたもの。
特に大きな出来事は起きないし
なんの問題もなく物語は終わっていく。
これがこの本の内容。
はっきりいってこの本は
人に勧めるような本ではないな。
と、私は思う。
だから今回はオススメしているわけではなく
私の独り言だと思ってこのコラムを読んで欲しい。
でも、断言できることは
私はこの本が大好きだ、ってこと。
初めて読んだ大学1年生の初夏。
「なんか、面白くないな」
そう思って本棚の奥にしまってしまった。
2年後の大学3年生の秋。
この本のことを急に思い出して無性に
読みたくなったことがあった。
大きめのマグカップに
たっぷりのカフェオレをそそぎ
夕暮れ時に一人静かに読みすすめた。

読み終えた後の充実感。
自分の中での新しい価値観の誕生。
主人公の感情への共感。
再読とは思えない感覚だったのを覚えている。
この「ホリー・ガーデン」
内容はさておき
「役に立たないこと」の
大切さを感じることのできる本。
独特の雰囲気、世界観
日常の細かい描写
美味しそうなご飯
がたくさん出てきて
読み終えた後は何気ない日常が
幸せで愛おしいものに思えてくる。
そんな作品だと思う。
本との出会いは一期一会で
私はこの本に出会えて
本当によかったと心から思っている。
日々忙しく、または充実して過ごしていると日常の些細な幸せを忘れがちで
嫌なことばかりが目につきがちになるけれど
そんな時、私はこの本を読んで
心を浄化するようにしている。
まだ本当の素敵な出会いをしていない方も
新たな本当の出会いを探している方も
是非、選択肢の一つに
入れてみてはいかがだろうか。
江國香織「ホリー・ガーデン」
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江國香織
日本の小説家、児童文学作家、翻訳家、詩人。
1987年の『草之丞の話』で童話作家として出発、『きらきらひかる』『落下する夕方』『神様のボート』などの小説作品で人気を得る。2004年、『号泣する準備はできていた』で直木賞受賞。詩作のほか、海外の絵本の翻訳も多数。
Wikipediaより
Marina (@mrnp913)・・・トウキョウで戦う社会人ルーキー。日本トップクラスの田舎町から、神戸を経て、今は住みたい街ランキング1位の端っこに住んでるらしい。笑

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