いい曲を #2-1 ”エロ”
- SS from monogrande
- 2018年8月11日
- 読了時間: 4分
更新日:2018年8月19日
いい曲を #2-1

どうぞ少し付き合ってください。
ほんの3分半のいい曲なんです。

アーティスト: クリープハイプ
タイトル: エロ
作詩: 尾崎世界観
作曲: 尾崎世界観
ミュージックビデオYouTubeリンク↓
今回紹介するのは
クリープハイプの『エロ』という楽曲。
メロディラインとその歌詞は、
ちょうど今の季節、”夏“を彷彿とさせる。
その直球なタイトルから読み取れるように
“エロティック”な部分と
一見醜い“人間臭い”部分
を歌う彼らの楽曲の良さを
今回はMVと共に紹介していきたい。
※以下、殆どが私の個人的な解釈です。
まずはMVに登場するこの男性
”岡島祐介“を覚えておいてほしい。

基本的にMVはこの岡島祐介とその恋人の
“ひと夏の恋愛”の様子を描いている。

安っぽいダサいカレンダー
八枚目でやっと見つけた
三列目の右の端っこに 赤いマルつけた
”カレンダーの八枚目“というのは
MVを見ても分かるように
“季節は8月である”事を示している。
丁度、今の時期ですね。
岡崎祐介は8月の3週目の土曜ないし日曜日に赤いマル、つまり“女性と会う約束”をした。
と、解釈できる。
“やっと見つけた”という部分には
「あの娘にやっと会える」
かのような祐介の舞い上がった感情が
見え隠れしている気がする
日付無くて間に合わないな
気づけなくて噛み合わないな
嫌になって今日の隅っこに 赤いバツつけた
ここで補足なのが
日付...と気づけ....の部分で
文頭から文末までの韻を踏んでいる。
クリープハイプはこういった“言葉遊び”を
歌詞に落とし込む傾向がある。
それが実に耳に気持ちよく
そして歌詞としても筋が通っている。
この曲のみならず他の楽曲でも多用されているので是非チェックして欲しい。
この部分では
女性と会う約束をするまでは
お互いの予定が合わず
2人が会えない日々が続いており、その度に
「あぁ、今日は(今日も)会えなかった」と
感嘆と共にカレンダーにバツを付けた。
という風に解釈できると思う。

君は本当にうまいよなぁ 全く歯が立たないよ
君は本当に狭いよなぁ 全く間が持たないよ
この歌詞、本当に秀逸。
“歯が立たない”をそういう風に使うか...
と初めて聴いた時は感動すら覚えました。
実にクリープハイプが好きそうな
遊びゴコロのある文字通り“エロ”な歌詞。
本当に秀逸。
ここの詳しい解説は生々しいので
省きましょう。ご想像にお任せします。

だってだってだってだってそれなら
どうせ最後はそうなるんだから
すぐ出来る事をしよう もうアレしかないし
物凄く抽象的ですが
それでも意味が分かってしまうのは
MVのおかげでもありますし
何より“エロ”というタイトルが
全てを物語っている気がします。
ずっとずっとずっとずっとこのまま
とかそんな馬鹿な事言って
一瞬で終わる夏
「ずっとこのままいられたらいいのになぁ」
なんて事を誰もが一度は思ったはず。
恋人や友人との時間も楽しければ
楽しい分だけ一瞬のように感じる。
祐介の恋愛も夏と共に一瞬で
終わってしまうのでしょうか?
気づけばもう8月も終わりそうですね。

安っぽいダサいカレンダー
九枚目でもっと見つけた
とりあえず恥から恥まで 全部マルつけた
先程との対比で九枚目というので
時は過ぎ“9月になった”事が分かります。
もっと見つけた
恥から恥まで
という部分については
8月よりも彼女と沢山会う機会が出来た
そして隅っこに対して端から端
ここでは恥から恥と表現している。
これは会うたびに恥ずかしい行為をする2人の関係性を表すために、ここでも言葉遊びが使われているように思う。
相変わらずうまいよなぁ 全く歯が立たないよ
相変わらず狭いよなぁ 全く間が持たないよ
会うたびに恥ずかしい行為をする
2人の関係性については
「相変わらず」という点に着目すると
2人は行為を何度も重ねている事が分かる。

ずっとずっとずっとずっと二人で
またそんな馬鹿な事言って
一瞬で冷める夏
「一瞬で終わる夏」に対してここでは
「一瞬で冷める夏」と表現。
盛り上がった2人の恋人関係も
9月になった夏の終わりと共に
徐々に気持ちが冷めていく様子が伺えます。
今日は明日昨日になる
今日は明日昨日になるんだから
もうやる事やろうよ
個人的に「今日は明日昨日になる」という言葉が好きです。2人の一夏の関係性を刹那的に表している気がします。

汗が乾いて忘れる
夏の暑さも、2人の流した汗も
季節が変わった9月の肌寒い風によって乾く
まるで何もなかったかのように。
一瞬の恋だったようです。

だってだってだってやってさよなら
「やって」さよなら。

そしてラストシーン
ここで祐介は駅に向かう人とぶつかり
相手を倒してしまいます。
これでMVは終わり。
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如何だったでしょうか。
夏の刹那的な恋愛を
凝縮した楽曲だったと思います。
さて、疑問に思っている人もいるかも知れませんが、今回のコラムのタイトルは
「いい曲を#2-1」
なぜ2-1なのか
それは次回もしコラムを書かせて頂く事があれば分かります。
このMVには、
岡島祐介の物語には続きがあるんです。
では機会があれば#2-2で。
Fuma Kaga @lalalapuma
香川県出身。ジャンルを問わず常にアンテナを張り巡らし、その純粋で貪欲な音楽愛でグッドミュージックを探求し続けている。そんな彼が送る一曲はきっと、ミーハーなあなたにも音楽通なあなたにもすスーっと刺さるナニカがあるはず。

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